「ふぅ…」

改めて一人になると、彼女は胸元を押さえ、ため息を吐いた。

痛みは何とか治まったが、不安は残った。

今朝は体調が良かった。

だから授業も最後まで受けた。

でも…やっぱりムリだった。

疲れが心臓にきてしまった。

いつもこうだった。

ちょっとでも疲れたり、動いたりすると痛む心臓。

それだけならまだマシ。

酷い時は貧血で、その場で意識を失うこともあった。

自分ではどうにもならない分、苛立ちは募っていく。

家族や先生、友達が自分のことを疎ましがっているように思えてならなかった。

いつも自分のこの体質が原因で、面倒をかけてしまっていたから。

何とか丈夫にならないものかと、いろいろ試したが全ては無駄な努力となった。

今では何とか心を平穏に保つことで、症状を抑えている。

本当は大声で叫びたい気持ちもあった。

けれどそんなことをすれば、ぶっ倒れるだけだろう。

時間と共に、希望は潰え、虚しさだけが心を占めていった。

「お待たせしました」

青年が奥から戻って来た。

テーブルには良い香りのするハーブティーとスコーンを置かれた。

「美味しそう!」