あたしは渋々というカンジで頷いた。
 でも、内心ではちょっとだけ期待があった。
 彼の言い方から、ホントに2股じゃなくて何か事情があるのかも~~とか、ね?

「彼女はバイト先のお客さん。主婦仲間とよく来るから、お互いに顔は覚えてるくらいの関係だった」

 彼はカラオケボックスでバイトしている。
 平日の昼間なんかは主婦が割と来るらしい。
 だからって、それがなんでホテルになるのよ! ……と心の中でツッコミ。

「一ヶ月くらい前だったかな? 俺がフロントにいたら、彼女が一人で入ってきたんだ。焦った感じだったし、いつも主婦仲間と来るのに変だなって。気になって聞いてみたんだ」

「……」

「そしたら、なんか変な男につけられてるって言って、しばらく店の中いさせてくれって」