「もういい」
そして恐らくは――
「君の叫びは聞いた。だから、もういい」
私が初めて彼に話しかけた時、彼は涙を止めて、卑しそうに私をせせら笑った。
「現実を見ていないのはお前だろうが、俺は見せつけているんだよ。こんなに叫んだところで、苦しんだところで、何も変わらないことを……!
もういいのはその夢追いだ、現実だ。醜い想いばかりが募ることなんかもうやめたいに決まっている!
この俺を見て、分かるだろうっ。努力した結果が“これ”なんだよ!求めたはずの結果なんて醜く、得たものなんか何もないっ。
それで報われない結果に叫んで何が悪い?実らない努力を嘆いて何がいけない?こうなるのは当たり前だ、想いが真剣なほどに訴えてどこがおかしいんだ!
当たり前なんだよっ、当たり前だからこそずっとこのままなんだっ。変えない限り、今までを変えない限り、俺はまた打ちのめされるんだよ、現実に!」


