首を吊った彼は、干からびたヘチマでした



――そも、なんでこんな物を見てしまったのか。


彼が死ぬわけなどない。私が生きている限りは、彼が死ぬことなどないのに、なぜ脳裏にこんな光景が焼きつく。


どうして、こんなにも生々しく残っているんだ。


何を思い、考え、判断するかは私が決め、これからのことも、目標も、手段も、変わるわけがないというのに、彼は最後まで私に無意味な訴えをしてくるのか。


彼は死なない、死なないんだ。彼は私でもあるのに、でも、しばらく彼の嘆きが聞こえなくなった。


私がもういいと言ったからの結果にすれば嬉しいことでもあるが、同時にいつまたあの慟哭が響くのかが気になった。