首を吊った彼は、干からびたヘチマでした



(二)


彼の死は、私が見つけた。


首を吊る彼に、私が真っ先に思ったのはヘチマ。


私が通っていた小学校にあった垂れ下がり、誰からも相手されない干からびたヘチマに見えた。


足がつかず、伸びきった首に巻かれた紐が触ってもいないのに冷たく感じられたのは何でだったか。


さぞや苦しかっただろうに、その苦悶の表情の影に笑みが見えたのは何故だったか。


彼が死んだと自覚したのに、耳にはまだ、またあの理不尽への嘆きが聞こえてくると思えたのはどうしてだか。