Sentimental jam (センチメンタル ジャム)

「先生、なんでこんなとこにいるんだっ?」

 俺は何がなんだかわかんなくてテンパってた。

「だって、私、今帰り道で矢吹君の姿が見えたから、追っかけて来たの。

 そしたら・・・、」

 レイラはうつむいたまま、それ以上言葉にならない様子だ。

 香南は、

「あの~~、先生?

 先生が生徒と付き合ってるなんてのが学校にばれちゃったら先生の立場もまずいけど先輩の立場も悪くなるってちゃんと解ってますぅ?

 先生?

 今のうちに別れちゃってもらえませんか?

 今ならあたししか知らないしあたしは絶対に誰にもしゃべんないし、先生、先輩と別れて下さいよ~~っ!」

「香南っ!

 黙れよっ!」

 俺は香南を睨み付けた。

「先生お願いですよ~~。

 別れて~~っ!

 先輩が可愛そうじゃん。

 だいたい先生のくせして生徒と付き合ってるなんて父兄に知られちゃったらどうするつもりなんですかっ!」

 香南は含み笑いをする。

 レイラは、ゆっくりと顔を上げると、

「矢吹君、ごめんね。

 私、頭がおかしくなっちゃってたみたいだね。

 冷静にならないとね・・・。

 矢吹君は、彼女と仲良くね・・・。

 それじゃ、さようなら・・・。」

 レイラは背を向けたまま、走り出した。

「ちょっと先生っ!

 待ってよ~~。

 何言ってんだよっ!

 待ってよ~~っ!」

 俺はレイラを追いかけ、肩を掴む。

「離して・・・、離してよ。」

「離さないよ、何で逃げるの?」

 レイラは泣いていた。

 ボロボロ泣いていた。

「だって、矢吹君あの子と付き合ってるんでしょ?

 それでいいじゃない。

 若い子同士お似合いだよ。

 こんなオバサンといたら笑われちゃうよ。

 これからは担任と生徒。

 それでいいじゃない?

 それに誰かに知られちゃったらおしまいじゃないの。

 あの子の言う通りだよ。

 もう学校以外で会うのやめましょう。」

 レイラはボロボロ泣いていた。

 そして鼻がまっ赤になってた。

「先生、ティッシュ持ってる?

 鼻水出てるよ?」

「え~~っ!」

 レイラはカバンの中を必死で探る。

 バサッ!

 カバンの中身が落ちた。

「嫌だ~~っ!

 も~~、なんでこうなっちゃうの~~っ!」