【完】君しかいらない

「最悪だ…」



「…え?」



思わず口をついて出た言葉に、愛梨ちゃんが不安そうな顔を覗かせる。



「ゴメン…愛梨ちゃんのことじゃなくて。

どうしようかな……俺、陽斗のために…今から行かなきゃなんないところがある」



「あたしのことは、気にしないで?奏太くんのしたいように…していいと思うよ」










愛梨ちゃんは、



なにもわからないのに、



必死で俺を理解しようとしてくれている。



それがわかるから、尚更俺も…決心が鈍るんだ。



陽斗のために、自分の全てを投げ打ってでも仕返ししたいって思ってた。



だけど…



守るものができてしまうと、



この状態を、壊したくないって思う自分がいることに気がつく。



蔦田司が幹部の女だとしたら、



本格的に、黒龍会が関与してるっていうことは明白で。



陽斗を潰したヤツらに仕返ししたら、



どんなにバレない手を使ったとしても、いつか返り討ちにあう可能性がないとは言いきれない。



幸い、陽斗は命に別状はなかったけど、



下手したら……。



考えれば、考えれるほど…最悪な事態しか浮かんでこない。