「いやぁ!びっくりしたなぁ」
…なぁ、真琴。
おまえは、俺のことをお人好しでのんびりやだと思っているだろ?
でもそれは違う。
おまえを守るためなら、何だってする。
こうやって再会の現場を演じることだってできるんだ。
なぜそんなことをするのか…
それは…俺には絶対に知られたくない秘密があるからだ。
おまえだけには、絶対に。
この秘密を守るということは、おまえ自身も守るということだ。
…真琴
おまえのためなら、兄貴として俺は何でもするだろう。
真琴がボトルのストックを取りに奥に入っていった時だった。
「変わったな、おまえ」
泰輔兄さんがグラスの中の氷を揺らしながら言った。
「そんな器用なやつだったかな。真面目が取り柄だけの優等生だとばかり思ってた」
先ほどの俺の演技のことを言っているようだ。
「実は俺、泰輔兄さんにお願いがあって。こうするしかあなたに会う方法が思いつかなかった」
「なんだ、お願いって」
「あの…真琴とは…」
なぜか俺は、先に彼と妹の関係の方が気になってしまった。
「心配するな、俺はただの客だ」
そうか?
少なくとも真琴はそうは思っていないんじゃないか?
「そんなことより何だよ」
泰輔兄さんは、納得していない俺の顔を見ると呆れたように笑って、グラスに口をつける。
「いえ、あの…昔なつみ園で俺が泰輔兄さんに言ったことを覚えていますか?」
眉をひそめ、彼は思い出そうとしている。
「あなたがこめかみにケガをした時です。あなたは俺に『大事な妹なら目を離すな』って言ったんです」
「そうだったかな」
「そんなこと言われたって四六時中見張っていられない、そう思って俺はなんだか無性に腹が立って言い返したんです。だって…」


