店の中は幼なじみの再会で、一気に盛り上がった。
他のスタッフも急に上がった歓声に何事かと振り返る。
「中央新聞社に勤めてるの?すっごーい。さすが我らの児童会長」
「児童会長ってあんまり貫禄ないなぁ。まぁ俺たいした仕事してないからいいんだけど。週に一度小さな記事を載せてもらってるだけだし。それより千春ちゃんだってここのオーナーなんだろ。こっちのほうがすごいじゃないか」
「そんなことないわよ。勢いで24時間営業やってみたけど、結構大変でヒーヒー言ってるんだから」
私の存在はすっかり忘れ去られたような雰囲気。
一通りお互いをほめて盛り上がった後、千春さんが私を見ながら言った。
「すごく素敵な彼女連れて…あ、まさか奥さんだったりして?」
お兄ちゃんも私も、ぎょっとしたのは言うまでもない。
「やめろよ、妹だよ、妹!」
「ああ…あの妹さんね…」
突然真顔になった千春さんのその一言が気になった。
お兄ちゃん、私のことをよそではどういうふうに言ってるのかなって。
「あのさ、そんなことより取材なんだけど、受けてくれる?」
「もちろんよ!美人オーナーって見出しでお願い」
「うーん、考えておくよ」
「考えるまでもないでしょ、事実なんだから」
あはは、とまるで昨日も会っていたかのように大口を開けて笑うふたり。
20年ぶりだとは誰も思わない。
私と泰兄なんて…
ぎこちなくて、ぎこちなくて…
何を話していいのかも、わからないのに。
今、この目の前にいるふたりが…
うらやましい…
ジョアンを出ると、お兄ちゃんはじっと私を見つめてから言った。
「きれいになったんだから、もうさっきみたいな顔をするんじゃないよ。せっかくの久々の兄妹デートなんだからさ」
お兄ちゃん…
私が冴えない自分にうんざりしてるってことに、気付いてくれてたのね。
お兄ちゃん。
お兄ちゃん、大好き。
さすが私のお兄ちゃんね。
いつでも私を助けてくれる、スーパーヒーローみたい。
「ね、私お腹すいたの」
「え、もう?まだ11時…」
「いいじゃない。おいしいところに連れてって。いっぱい知ってるでしょ、記者さん」
私はまたお兄ちゃんと腕を組んで、本通りの人混みをぬうようにして歩いた。


