「そっか、とうとうわかっちゃったか」
渇いた笑い声が部屋に響く。
「そうだよ、俺は全くの他人。おまえの父さんと母さんに拾ってもらった野良犬みたいなもんだよ。血のつながりのあるおまえたち家族に、よそ者が混じってままごとしてたようなもんだよ」
「違う!お兄ちゃんは間違いなく家族よ!今までも、これからも!私がさっき言ったことは嘘よ、忘れて!」
「もうそうはいかないんだよ」
「お兄ちゃん…?」
「お兄ちゃん、お兄ちゃんって…もういい加減うんざりなんだ」
「…え?」
「俺はおまえの兄貴なんかじゃない。もう何年も前から!」
「お兄ちゃん?」
「だから違うって言ってるだろう!」
俺はとうとう真琴に詰め寄ると、肩をつかんで壁に押し当てた。
一瞬のことに何が起こったのかわからない様子の真琴。
じわじわと今おかれている状況を理解し始め、顔を強ばらせた。
「離して。痛い」
彼女の細い肩をつかむこの手に、ますます力が入る。
「真琴…」
「離して」
しびれを切らしたように、真琴が身体をよじった。
だけど、俺は決して彼女を逃がさなかった。
「お兄ちゃん!!」
「泰輔兄さんのところへは行かせない!」
「どうかしてるわ、お兄ちゃん!」
「だから俺をそうやって呼ばないでくれ!!」
思わず壁を拳で殴った。
その剣幕に怯えるような視線を向けてくる「妹」。
「いいか、真琴。本当の兄貴ならこんなことはしない。妹を女として見たりはしない。女として妹を愛したりもしない…!」
「何を言ってるの…?」
「おまえを愛してる」
「お兄ちゃ…!」
「泰輔兄さんには渡さない!絶対に!」
俺はずっとしまいこんでいた気持ちをぶつけた。
もう抑えきれなかった。
隠し通す自信もなかった。
愛している。
妹としてではなく、ひとりの女として。
愛している。
もう兄貴面なんてしない。
男としておまえを手に入れたい。


