ふたり。-Triangle Love の果てに

~相原泰輔~


俺の意識が戻った途端、見舞客がひっきりなしにやって来る。


銃で撃たれ意識不明だったとはいえ、俺は橘組のトップだ、見苦しい姿は見せられない。


だから勝平にいろいろと持ってこさせた。


たった一日で、花や果物が部屋中を埋め尽くすほどの訪問を受ける。


訪れるのは組の関係者ばかりだったが、マコは気丈にも同席していた。


あいつにしてみたら、俺たちの組織の人間は憎んでも憎みきれないほどだろうに。


だが鶴崎組長が来た時には、さすがのマコも顔色が悪かった。


「今回の件で、須賀と話をつけてきた」


カタギのマコの前では話しにくい内容だったのだろう、鶴崎組長はそう言うなり俺と彼女を交互に見遣った。


「おまえはしばらく外に出てろ」


俺がそう言ったにもかかわらず、マコは真一文字に口を結び、首を横に振った。


「ここにいさせてください」


「それはかまわんが…」


一瞬ためらった組長だが、須賀との一件を俺たちの前で話し始めた。


俺を撃った男は普段から素行不良で、圭条会のシマを荒らしたことは監督不行届であったと、須賀側が謝罪したということだった。


その男は、Yesterdayで問題を起こした男たちのひとりで、俺に恥をかかされたことを逆恨みし、狙っていたらしい。


だがあの夜、俺が鶴崎組長と一緒にいたことから、圭条会本部の執行役員を務める彼へとターゲットを変更した。


おそらく、より「大物」をしとめたかったのだろう。


敵対する組織の大物幹部を殺れば、自分の格があがるとでも思ったに違いない。


まぁ、結局組長をかばった俺に弾が命中したわけだから、当初の目的通りになったわけだが…


須賀側は、その男をこちらに引き渡すことで事態の収拾をもくろんでいると、と組長は言った。


「あちらはすでにそいつに指を1本落とさせたと言っている。もう1本落とさせるかどうかは、こちらに任せるとのことだ」


鶴崎組長の言葉に、俺はマコを見た。


下唇を噛みしめ、青白い顔をしている。


あまりに生々しい話で、無理もない。


「どうする泰輔。俺はもう1本落とさせようと思う」


「いえ、もう充分でしょう」


「だがおまえは俺をかばって死にかけたんだぞ。俺としてはこのままで終わらせたくない」


「もとはと言えば、俺のそいつへの対応が悪かったんです。間違いなく、俺の責任です。それに組長のために死ねるなら本望です。この世界に入った時から、その覚悟はできています」


「泰輔…」


「それより警察は?あいつらは今回動かなかったんですか。公になれば、ますます締め付けが厳しくなるのでは」


俺の質問に、曇った組長の顔が得意げなものへと変わる。