確かに脈打つ心臓。
大きく上下する胸。
あなたが生きている証拠。
泰兄…
「…ばかやろう」
あきらめたような彼の瞳が、私を見た。
「ここに来たことを、いつか後悔するぞ」
「そうかもしれないわね」
笑うと、またポロポロと涙が落ちてきた。
後悔なんてしない、絶対にしないわ。
「戻ってきてくれて、よかった…あなたに伝えなきゃいけないことがあるの」
青白い彼の頬を、私はそっと手のひらで包んだ。
「愛してる」
しんとした中でも、抑え気味の私の声は大きく聞こえた。
それを聞いて、彼は静かに目を閉じる。
その瞼が揺れている。
ねぇ、泰兄。
あなたがどこで何をしようと、もういいの。
そばにいたい。
あなたと生きていきたい。
もうこの想いは止められないの。
泰兄がそっと手を重ねた。
見つめ合った私たちは、そのままお互いの指を絡め合う。
「愛してる」それをどうしても伝えたかったの。
もう一度、彼の胸に頬を押し当てた。
「…暗い意識の中で、おまえの呼ぶ声が聞こえた」
「泰兄」
「おまえが俺を呼び戻してくれた」
私は胸の中で頷いた。
「もうどこにも行かないで」と言いながら。
泰兄。
あなたを愛してる。


