「撃たれたんです、泰輔さん。須賀の奴らに撃たれたんです」って。
「え…」
「病院に運ばれたんですけど、意識が戻らなくて危険な状態です」
泰兄が…撃たれ…た?
息が苦しくなる。
「お願いです。俺と一緒に病院に行ってもらえませんか」
意識が戻らない…?
喉の奥がひりひりと灼けるように痛む。
「私は…」
ようやく出た、かすれた声。
「行きません」
「そんな…お願いです!泰輔さんは今でもあなたのこと…!」
「彼がどうなろうと、私には関係ありませんから!!」
通りに響き渡る声。
何かを言おうとする彼を振り切って、私は走り出した。
泰兄…
泰兄…
どうしてこんなことに…!
…死んじゃうの?
ねぇ、あなた本当に死んじゃうの?
嘘よ、あなたがそんな…
唇の片方だけを持ち上げる、彼の笑い方が目に浮かぶ。
私を見つめる哀しい瞳がちらつく。
そして舞い散る真っ赤な花びらの向こうで、苦しげに歪む顔が滲んでゆく。
涸れたとばかり思っていた涙が溢れる。
嘘…
あなたがどうなってもいいなんて、嘘よ。
この涙がその証。
ねぇ、泰兄。
いやよ、死なないで!
あなたがどこで何をしていようとも、かまわない。
だから生きていて。
私に償いの気持ちが少しでもあるのなら、死んじゃだめ。
そんなの、逃げるのと同じよ、卑怯よ!
泰兄…!
錆びた階段を駆け上がり、玄関のドアを勢いよく閉めた。
身体が小刻みに震え出す。
私は自身を強く抱きしめた。
怖い…
また愛する人が遠くに行ってしまうかもしれない。
どうしよう、どうしたらいいの…
彼が憎い。
でも愛してる、まだ愛してる。
私は小さくなったまま、膝に顔を埋めた。


