何もかもがスローモーションの世界だった。
霧のように宙を舞う血しぶき。
その向こうの驚いた鶴崎組長の顔。
空に浮かんだ、突き刺すような鋭い三日月。
そして次第に低くなってゆく俺の視界。
尖った砂利が身体に食い込んだ。
朦朧とする意識の中、残された力で俺はその砂利をつかむ。
何かにすがりつくように。
熱い…
身体が灼けるように熱い…
口の中は血の味。
視界もすでにぼやけはじめた。
この世界に入った時には覚悟はしていた。
いつかこういう日がくるんじゃないかと。
命が尽きる瞬間、俺は一体何を思うんだろうって漠然と考えてたし、まだまだ先のことだとも思ってた。
まさかこんなに早く来るとはな、誤算だった。
だけど、今こうなってみてわかった。
俺は後悔している。
それも半端じゃないくらいに…な。
情けないよな。
今さらこんなこと言っても、仕方ないんだが。
こんなことになるくらいなら…
こんな苦しい想いを抱いたまま、今ここで命を落とすくらいなら…
マコ…
おまえに出会わなければよかった、と…
おまえを
愛さなければよかった、と…
心底、そう…思う…


