ふたり。-Triangle Love の果てに

~相原泰輔~


マコと別れて、どれくらい経っただろう。


季節も移り変わり、滞りなく順調に時間だけは過ぎてゆく。


だけど俺の心は、完全に時が止まったままだ。


最後にあいつを抱きしめたときのまま…


あの大きく見開いた目から涙がこぼれ落ちるまで、俺はこんなにも目の前にいる女を愛していることに気付かなかった。


でももう遅い。


俺はあいつから両親を奪った組織の一員だ。


知らなかったとはいえ、あいつを途方もなく傷付けたことに間違いはない。


「よう、泰輔。元気ないじゃん」


「お世話になります、浩介さん」


さかいオートのガレージ。


「珍しいな、『組長代行さま』のおまえがわざわざメンテに自分で車を持ってくるなんて。若いモンの仕事取んなよ」


「暇なもんで」


ごまかすように笑う俺の横に腰をかけると、彼は紙コップに入ったオレンジジュースを手渡してくれた。


「なんだなんだ。そのシケた顔の原因は。女か?」


「ご冗談を」


「隠すなって」


喉が渇いていたわけでもなかったが、とりあえず俺はジュースを一口飲んだ。


甘さが舌に広がる。


その様子を見ていた浩介さんはいきなりこう切り出した。


「昔、俺の知り合いでさ、すっげぇデキる人がいたんだけど、これがまためちゃくちゃモテるわけ。俺らからしたら羨ましくてさぁ。真似して手当たり次第に女と付き合ってみたりしたけど、やっぱりサマにならなくてよぉ」


足を組み替えながら、彼は続ける。


「だけどその人はさ、心底愛した女がいたのにその想いは叶えられなくて。その苦しさを他の女で紛らわせてただけだった」


浩介さんの話に思い当たる人がいた。


「それは…亮二さんという人ですか」


俺の質問に「まあな」とだけ答えた浩介さんは、遠い遠い目をする。


直人さんもそうだ。


亮二という人の話が出ると、決まってそんな哀しい目をする。


「噂でしか聞いたことはないんですが、その人、かなりのやり手だったそうですね。直人さんだって今でもその人を尊敬してる。それほどの人が惚れた相手だ、よっぽどいい女だったんでしょう」


「いい女か…確かにきれいだったな。何て言うか、どこまでも澄んだ感じのする人だった…って俺、ちょっと文学的じゃね?ま、直人が言ってたことをパクッただけなんだけど」


あえておどける彼の様子に、そのふたりが悲しい結末を迎えたのではないかと思われた。


でも俺はあえて訊いた。