「そうだ、千春ちゃんは絵画とか興味ある?次の取材で行くんだけど」
俺はベッドのサイドテーブルに置いていた分厚いシステム手帳を手に取り、一枚の折りたたんだパンフレットを抜き取った。
「もしよかったら来週の日曜日、一緒に取材に行ってもらえないかな」
ベッドに座り取材内容を簡単に説明する俺の隣に、彼女も腰をおろした。
「ステキ、行ってみたい。あたしね、片桐くんの記事好きなんだ。文章がすごく優しいから」
「あはは、真琴も同じこと言ってたなぁ。自分じゃよくわかんないんだけど、でもありがとう、嬉しいよ」
「じゃあ、次の日曜日はあけておくね」
見つめてくる熱い彼女の視線が、突き刺さるようだった。
今にも触れそうな肩。
「…千春ちゃん…」
気がつけば、俺は彼女の頬を両手で包んでいた。
潤んだ瞳がこの身体を熱くさせる。
とうとう俺は雰囲気に流されるまま、千春ちゃんにキスをした。
一度火がついてしまったこの身体は、余程のことがないかぎり止めることはできない。
自然にこの手は頬から首筋へ、そして彼女の服の下へと忍び入ってゆく。
そのまま俺たちはせまいシングルベッドに身を委ねた。
無我夢中の俺に、千春ちゃんも身体をしならせて応えてくれる。
だけどベッドにそのまま置いてあった手帳に手が当たってしまった。
バサバサッとはさんでいたメモやパンフレットの類が、フローリングに落ちていく。
かまわずに彼女の首筋にキスを繰り返そうとした俺の目に、落ちた一枚の写真が飛び込んできた。
突然動きの止まった俺を不審に思った千春ちゃんが、上半身を起こす。
「…片桐くん?」


