いつもと変わらない本通りの夜明け。
しらみ始めた東の空を眺めてみる。
これもいつもと、さほど変わりない。
でもわかってるの。
どれだけいつも通りだと言ってみても、ひとつだけ違うところがあるということを。
それはあの角を曲がっても、彼はもういないということ。
私を抱き止めてくれる広い胸は、もうないということ。
ああ、夜明けっていつも幻想的、だなんて心の中でわざとらしくつぶやいてみたりするけれど…
やだ、どうしよう。
うつむくと涙がこぼれてしまいそうで、あの空を眺めてがまんしていたのに…
やっぱり無理。
気をゆるめると、こうなっちゃう。
指先でそっと目元をぬぐう。
ねぇ泰兄。
早く私の心から出て行って。
今すぐには無理かもしれないけど、できるだけ早くしてね。
私を、私の心を自由にして。
怖いの、とっても。
あなたが憎いはずなのに、心のどこかで両親を殺したのはあなた自身じゃないって思ってしまうの。
だから、あなたは悪くないじゃないって思ってしまうの。
お願い。
私の中から出ていって。
あなたへの憎しみだけを残して、出て行って。
お願いだから…
これ以上私を苦しめないで…


