ふたり。-Triangle Love の果てに

~片桐真琴~


私は「超」って言葉があまり好きじゃない。


だから超楽しいとか、超悲しいとか使う事なんてまずない。


だけど、今のこの気持ちを一言で表すとするのなら「超ブルー」。


お兄ちゃんがYesterdayに同期の森さんを連れてきた。


私はこの人が嫌い。


いつもお兄ちゃんを見下したような言い方をするし、世の中に自分の知らないことないって感じの話し方をする。


でも一番許せないのは、お兄ちゃんを都合良く利用すること。


私がまだなつみ園にいた時、大学4年生のお兄ちゃんは卒業論文の執筆で忙しい中でも、よく面会に来てくれていた。


そこで今取り組んでいる卒論のテーマについて話してくれたことがあった。


「へぇ、おもしろうそう!お兄ちゃんって結構大胆な発想をするのね」


関心しながら、殴り書きしたノートを見せてもらったことがある。


私はてっきりそのテーマで論文を書き上げたものだとばかり思っていた。


だけど、お兄ちゃんと一緒に住むようになって、たまたま卒業生の論文をまとめた冊子を見つけた。


何気なく「片桐勇作」のページを開いて首を傾げた。


その内容は以前話してくれたものとは似ても似つかないものだったから。


でも、お兄ちゃんが発表しようとしていた研究内容に似たタイトルを見つけてしまったの。


それが森さんの論文。


私はお兄ちゃんにどういうことなのか訊ねた。


そしたら「あいつがそんなテーマは時代遅れだって言うんだ。でも自分ならうまくアレンジできるって言うもんだからさ」って言う。


「だから譲ってあげたって?でもお兄ちゃんの研究テーマをそのまま森さんが発表してるじゃない。そっくりそのままよ!」


「あいつもテーマが決まらなくて焦ってたし。それにもう済んだことだから」


そう言って、私からその冊子を取り上げてしまった。


それだけじゃない。


中央新聞社に入社してまもなくのこと。


新入社員を対象に行われたローカル紙面に掲載される募集企画。


お兄ちゃんは目を輝かせてそのアイディアを話してくれた。


私に「おまえはどう思う?」なんて意見を聞きながら、毎晩遅くまで企画書をまとめていたのに。