ホールケーキ・モンスター

わがクラスは、紛失物が多いことで有名になった。

チョーク、先生の老眼鏡、蛍光灯、はては教卓までもが消えていく。


翌朝登校すれば、壁の塗料は削られ、床板は日に日にはがされてはなくなっていく。


美麗は毎日、保健室へ行く、図書室へ行く、忘れ物をしたとうそぶいては舌なめずりをした。


被害は隣り合った教室から学校全体へと広がっていく。


とうとう、職員室の窓をイスで割り、散らばった破片の中心へ座り込んで曇りガラスを飴のようにしゃぶっている所を先生に目撃されるに至り、

美麗は学校へ来なくなった。