ホールケーキ・モンスター

高校でも、私と美麗は一緒にいた。


部活帰りに連れ立ってコンビニへ行くと、彼女はお腹すいたーとぼやきながらパンが並ぶ一角へ向かっていく。

私が温かいドリンクを物色していると、美麗の黄色い悲鳴が上がった。


「きゃあーっ!
何コレ、おいしそう!」


美麗が食い入るように見つめる視線の先を、私も寄っていって見つめてみる。


「何、コレのこと?
普通のメロンパンじゃん」


そう指摘した私の言葉が、果たして彼女に届いていたのかどうか。


「全っ然普通じゃないよ!

見てこのセロファン、ほかのと材質が違うのが分からない?

透明度がすごいし、手触りも最高。

それにこの印刷された柄がピンクと黄色でかわいくて」


パンを包む袋について熱っぽく語る美麗に、私は確か、中身は変わらないでしょ、と応じたのだ。

彼女は答えた。


「何言ってるの。

パンは耳がおいしいように、商品は包装がおいしいんだから」