光沢のある緑色の塗料の甘み。

白木を噛めば、鰹節のようなうまみがしみ出る。

黒い芯はくせものだけれど、慣れれば噛み折る時の歯ざわりと粒子の食感がやみつきになると、後になってから美麗は語った。


美麗の筆箱からは、1日1本鉛筆が消えていく。

そうして週に1回私に鉛筆をねだった。

私は気味が悪いと思いつつも、家にある1番短い鉛筆を常備しては彼女へ渡し続けていた。


今思えば、それが彼女の食行動を助長させることになったのかもしれない。

彼女は私によく懐くようになり、1番の友達になった。