ホールケーキ・モンスター

「菜月ちゃん。

どうして私が名前で呼ぶのを避けてきたと思う?


望月菜月。

素敵な名前だよね。

とっても……おいしそうな名前」


彼女の目は、食事の時の、いただきますの前のあの目だった。

食べ物へ、もとは生きていたそれへ、最大限の敬意と感謝を払う目。


「私……食べたかったの、ずっと。

菜月ちゃんは友達だよ。
それは分かってる。

でも……でもね、菜月ちゃんはきっとすごくおいしいよね。


そう考えると私、もう、

止まらない」