ホールケーキ・モンスター

彼女は熱っぽく語り続ける。


「お母さんは、お気に入りのものだから、苦労して手に入れたんだから食べるなって言うけど、我慢できないの。

ケーキが目の前にあると、そんなこと、どうでもよくなっちゃう。


口に入れて、思いきり味わって、ああ、幸せだ、って。

満足感でいっぱいになって。


節度も、周りの不幸も、何もないの。

自分の幸せだけ」


私はただ、こう言った。


「ケーキはおいしいもんね」


すると美麗は、意を決したような強い目をして私に告げた。


「私の部屋に来て。

あなたの前では我慢しなくていいよね、……見せたいものがあるの」