恋愛野獣会

そう言って立とうとすると――服を掴んだ手に力がこもった。



「いっちゃ……やだ」



病気の時は誰もが不安になる。



けど……こいつは……。



「白夜先輩……」



そうやってあいつの名前を、呼んだんだ。



俺の中で、何かがプツンッと切れる音がした。



「明日香」



白夜の声とは似ても似つかない俺の声に、



「ん……」



と、ほんの少し、微笑んだ。