だけど、結婚式は椿が望んだこと。壊したいとは思わないし、無事に終わらせたいと思うのも本心だった。


 「…じゃぁ、他の奴だろうな」


 静を纏う空気が変わったことに気づいたのは、凍てつく様な冷たい視線を向けられてからだった。


 「誰?どれ?潮(うしお)?麻績(おみ)?冠蜜(かんみ)?祝詞(のりと)?潮だったら最低だ。今椿ちゃんは花嫁姿でウエディングドレスだし…冠蜜なら尚更…!椿ちゃんの体が危ない。二人のどっちかなら最低だ!」


 
 尋常でない取り乱しは、そのまま静の心の平穏が脅かされていることに直結する。

 
 即ち、凄く焦っているということ。