純はタバコを投げ捨てると、

「青・・・、色々あったけど、ガンバれよな。

 俺はいつでも一番にお前の見方やからな。

 んじゃまたな・・・。」

 純は手をふって去ってった。

 いきなり静かになった海に1人になったあたしは、膝をかかえて座ったまんまだった。

 さっきまで隣にいた純・・・。

 そして、また友達に戻ったあたし達の関係・・・。

 世の中には一緒になりたくってもなれない人っているんだなあ・・・、なあんて思ったりする。

 だんだんよく分かんなくなっちゃったじゃん?

 も~いいやっ!

「あのぉ・・・。」

 後ろから誰かが声をかけてきた。

 「えっ?」

 振り返るとあの男の子だった。

「あっ・・・、

 えっと・・・、

 えっと・・・、

 名前何だっけ?」

「秋本(あきもと)です。

  秋本夕月。(あきもと ゆづき)

 すいません。

 なんか・・・、突然声とかかけちゃって・・・。」

「ああ、秋本君。

 別にいいよ。

 あんたも海見に来たの?」

「あっ・・・、はい。

 横に座ってもいいですか?」

「いいよ。」

 あたしはちょっぴり嬉しかった。

 誰かになんとなくいて欲しい気分やったから・・・。

「じゃあ、横に座りますね?」

 藍色の空に月が見える。

 満月だ。

「綺麗ですね・・・。

 月・・・。」

「そうだね・・・。」

「あの-、さっき、一緒にいた人って彼氏ですか?」

「えっ?」

「ごめんなさい。

 僕、あなたと彼氏さん?がいた時から近くにいたんです。」

 あたしはちょっと不機嫌そうに、

「あいつは彼氏じゃないよ。

 ただの友達っ。」

て、答えると、後ろに倒れて寝転んだ。

「そうなんですか・・・。

 友達ですか・・・。」

「そうそう、友達。」

「なんか凄く仲良くしてたから、彼氏なんかと思っちゃいましたよ。」

 友達かあ・・・。

 夕月はヘッドホンを首に下げた。

 ガンガンに煩い音楽が漏れてる。

「あのさー、何回も友達、友達って連発しないでくんない?」

 あたしはイライラして夕月を睨む。

「ご、ごめんなさいっ。

 ごめんなさい。」

 夕月が困った顔で謝る。

 なんだか可笑しくて笑っちゃった。

 夕月も笑ってた。

 最終便の飛行機が飛んで行った。