「青・・・、俺らカレカノってよりさあ、ダチだよな。

 なんかゴメンな。

 俺、お前とは多分、この先もやれないわ。」

 おでこをくっつけたまま純が言った。

「あっ、あたしもそんな感じやから・・・。」

 あたしは純のおでこにデコピンした。

「痛てっ! バーーカっ!」

 あたしは大声で笑った。

 あたしと純はやっぱ、幼なじみなんだよね・・・。

 カレカノにはなれない・・・。

 これってどうしょうもない事なんだよね・・・。

 好きの種類が違うってお互いに気がついてたんだもん。

 神様って意地悪だよね。

 やっぱカレカノやったらエッチとか当たり前やもん。

 そんなん無しで付き合えるわけないじゃん?

 そんなん分かってるよ・・・。

 純はポケットからタバコを取り出した。

「青・・・、お前が男やったら最高のダチになれたんやろな・・・。」

 タバコを吸いながらこっちを見る純に、

「女でもダチなんやろ?

 なら最高のダチになればいんじゃない?」

 純は複雑な表情だった。

「だよな・・・、そーだな。

 最高で最強なダチでいっか?」

「いんじゃない?」

 あたしは笑った。

 ちょっとだけ胸がキュンってなったけど それって、好きなのに無理だからキュンってのとは違う。

 好きなのにカレカノになれない微妙な関係にキュンってなったんだ。

 もう純の事はこれから先もそのキュンにはならないんやろうなあ・・・って。

 ただの友達なんだ・・・。

 あたしはなんか寂しかった。

 純に彼女とか出来たらやっぱ寂しいだろうし・・・。

 なんだか複雑。

 自分でもよくわかんないっ・・・。

「青、俺らは何もかわんねーんだかんな。

 困った事があったら俺はいつでもお前を守るぜ?」

 くわえタバコでポケットに手をつっこんだまま堤防に飛び移る純。

「ありがとっ!

 あんたがダチで、あたしは幸せだよっ・・・。」

 あたし達はしばらく海にいた。

 夕陽が沈むと辺りは急に暗くなった。

「じゃ、行くか?」

 先輩から借りた原チャに股がると純はあたしを見る。

「どしたん?

 乗らんの?」

 あたしはうなずいた。

「もう、ちょっとここにいたいから、あたしここにいるよ。」

「そっか、でも暗くなってきてっから、なるべく早く帰れ。

 襲われっぞ~っ!」