「秋になるとさあ・・・、

 空が赤くなるのが早いよね・・・。」

 あたしは、隣で寝転んでる純に言った。

 純は、

「アチッ~~、やっべ~~、クソっ!」

て騒いでる。

「どうしたの?」

 あたしは呆れた顔で苦笑いする。

「寝たままタバコなんて吸うからじゃん?

バーカっ!(笑)」

 空はもう赤く染まってた。

「ねぇ、純。

 覚えてる?

 小学生ん時、ここで夕陽を見てたらあんたが来てさあ、

 あたしが、夕陽がみかんみたくないって言ったんだよね。

 でも、こうやって改めて見てたら、みかんじゃなくて、なんか、ほおずきみたいじゃない?」

 純は携帯をいじりながらこっちを見る。

「なあ、青。

 俺らってさあ、カレカノなんにエッチした事ないじゃん?

 なんかさみしくね?

 俺、お前の中に入った事がね~~んだぜ?」

 あたしは一瞬だけ

 えっ?ってなっちゃった。

 けどその数秒後、こいつの頭を叩いてた。

「バーカっ!

 変態。」

 純は髪の毛をかき上げると、

「あのさ~~、なんかお前と俺って、越えれね~~なんかがある気がしねぇ?

 お前の事めちゃ愛してるのに、どうしてやろ?

 やりてーとかって気持ちになんねーんだよな~~。

 これって最大の不幸じゃん?

 参ったぜ。

 この俺が世界一好きな女を見ても欲情しねーなんてありえないぜ~~っ!てな。」

 海にゆっくりと沈んでくまっ赤な夕陽が痛い。

 純の言う事はなんとなくわかる。

 あたしと純って、身内みたいな感じだから。

 純の事、大好きだけどその大好きってのが彼氏とか男とかってのとは違うような気がしてた。

 なんでやろ・・・。

 あたし達は近くに居すぎたのかなあ・・・。

 純の金髪が夕陽に透けて見えた。

「俺、最近エッチしてね~~んだぜ?

 やりてーはずなのにやれない。(笑)」

 あたしは純のつぶやきがなんだか遠くに聞こえた。

「好きやったら、やっぱやるだろ?

 青・・・、どしたらいいんだあ?」

 純がおでこをくっつけてきた。

「そんなのあたしに聞かれてもわかんないよっ!」

 純をこんな近くで見るのは久しぶりだ。

 それなのにドキドキしない。

 全然胸キュンてなんないよ。