あたしは、親に見られたくないから静かに家に入り、自分の部屋に行った。

 鏡に映る自分はなんだか無理してる。

 ケバい化粧がなんだか余計に幼さを引き出してるように見えた。

 マスカラとアイラインとつけまで、まっ黒になった目元はパンダみたいだし、あいつの不細工だとかブスだとかって言う声が頭の中をぐるぐるまわってた。

 確かにそうだよな・・・。
 
 これはあたしじゃない。

 にせ者のあたしだ。

 メイクを取って風呂に潜った。

 あたしはあたしだよ。

 あたしのまんまでいいんだよね?

 その夜、友夜からメールが来た。

《マジで好きだから信じて》

《ありがとう。

 でも今日のあたしはあたしじゃないんだ。》

 しばらくして、友夜から返信が来た。

《知ってるよ。

 だってずっと前から知ってるから。

 俺は君の全部が好きになったんだ。

 大丈夫。》

 あたしは、風呂上がりの自分を鏡で見て、なんだか少しほっとした。

《こんなあたしを好きになってくれて凄く嬉しいよ。

 仲良くしょっ。》

ってメールを返した。

《仲良くしてください。

 よろしくね。》

 友夜は、私にはもったいない。

 友夜を、好きになろうって決めた。

 自分の本当の気持ちにまだ気がついてない14才のあたしは、ただ自分を好きになってくれたって事が嬉しくてはしゃいでいた。

 幼すぎるあたしの恋はきっと、とっても純粋だったと思う。

 あの頃より大人になった今なら、もっと上手く生きていけただろうけど・・・。

 14才のあたしには男の子の気持ちなんて、ぜんぜんわかんなくって、ただ無邪気に真っ直ぐに突っ走ってたと思う。