あたしも帰ろう・・・。

 チャリに乗り、ペダルをこぐと携帯が鳴った。

 友夜だった。

 鳴りやまない電話。

 あたしは苦しかった。

 心の中で何度も謝った・・・。

 友夜、あたしの事なんてもう忘れて・・・。

 こんな最低な女なんて捨てちゃってよ・・・。

《青、俺を1人にしないで。

 俺には青しかいないんだ。》

 メールが届くたびに涙が止まんなかった。

 あたしは知らなかった。

 この時、友夜が近くにいた事を。

 そしてりサと出会ってしまってた事を・・・。

 あたしとリサが海にいた時、友夜がずっと近くにいた。

 少し離れた場所からあたしたちを見てた。

 でも、あたしにはまったくわかんなかったんだ。

 リサとあたしがバイバイしてから、友夜はあたしに連絡してきた。

 でもあたしはすべて無視した。

 純と約束してたから・・・。

 もう友夜とは絶対に連絡を取り合わない。

 そして絶対に会わないって。

 あたしと別れて1人になったリサは海辺を歩いてた。

 向こうから歩いてくる人影に気がついた。

 リサは虚ろな目をしたその人影に異常なものを感じた。

 じっと見るリサの方に人影が近ずいてくる。

 正気のない青白い表情・・・。

 悲しげな瞳・・・。

 怖いくらいに綺麗な顔をしたその人物は 友夜だった。

 リサは直感で感じた。

 彼は壊れてる。

 そして痛い位に繊細で、今にも消えてしまいそうな、そんな感じがしてならない。

 友夜はリサに向かって、

「青が俺から去ってく・・・。」

 そう言って崩れた。

 リサは友夜に同じ匂いのを感じた。

 何故だかわからないけど不思議でならない。

 止まらない感情だった。

 リサ自信にもわからない感情だった・・・。

 リサはとっさに友夜を抱き締めていた。

 友夜の虚ろな目を月明かりが照らす。

 長めの前髪が揺れる。

 リサは、あたしで良かったら今だけでもそばにいてあげるから・・・。

 友夜の目から涙がこぼれてた・・・。

 藍色の空には一番星が出ててあたしはチャリを必死でこいでた。

 そうやって今の自分をごまかすしかないもん。

 無心でチャリをこいでた。

 リサと友夜が出会ってたなんて知るはずもない。