「もう無理なんだ。

　でも友夜は全然悪くないんだ。

　悪いのは全部あたしだから・・・。」

　遠くで聞こえる子供たちの歓声。

　海を見つめながらあたしはそう答えるしかなかった。

「よくわかんないけど自分の気持ちに正直に生きてかないと自分がキツくなるから、ほんとに好きな奴と一緒にいるのが一番なんだとあたしは思う・・・。」

「よく考えて決めなよ。

　でも余計な事かと思うけど、あんたには純が一番似合ってるとあたしは思うから。」

　リサは持ってたジュースを１つあたしに差し出した。

「ありがとっ。」

　あたしはそれを受けとるとストローを刺して一気に飲み干した。

「あたしは友夜をたくさん傷つけたんだ。

　あたしにはまだ答えが見つからないんだ。

　誰かを傷つけて自分だけしあわせになるなんて出来ないよ・・・。

　どうしたらいいのかわかんないんだ・・・。」

「そっか、色々あるよね。

　あんたの好きにしたらいいよ。

　それが答えなんじよない？」

　リサとしばらく海を見てた。

「あたしは、たまにここ来るんだ。

　海見てると嫌な事とかほんのちょっとの間だけでも忘れられるからさ。」

　リサがジュースを飲みながら言った。

「あたしもだよ。

　あたしはしょっちゅう海に来てるよ。

　子供ん時からやけどね。」

　なんだかリサとの距離が近くに感じた。

　風が冷たくなると夕陽が海に沈もうとしてた。

「みかんの夕陽だあ・・・。」

　あたしは思わず声をあげる。

「みかん？」

「うん。

　小学生ん時、よくここで夕陽が沈むのを見てたんだ。

　みかんみたいやなって思ってさー。

　純とよく見た事思い出しちゃった。」

「なんかラブリーじゃん！」

　あたしたちは思わず笑った。

　夕陽が沈んで、暗くなった海はなんだか寂しい・・・。

「リサはもう大丈夫なの？」

「大丈夫やよ。

　あたしはもう大丈夫。

　それよりあんたのが心配じゃん？
　
　純にしっかり守ってもらいなよっ？

　じゃっ、あたしそろそろ帰るわ。」

　リサはそう言って手を振った。

　リサがなんだか眩しく見えた。

　リサは、とても綺麗だった。