「ちょっと何してるの!

あなた達 中学生ね!

あなたS中の子でしょ?

警察呼ぶわよ!

誰かっ!

警察に電話して!

ケンカしてんのよー!

誰か!

早く警察に電話して!」

辺りは、たくさんの人が集まってて、その先には、友夜の上に乗っかったまま何度も殴る純が見えた。

純があんなにキレるのなんて、今まで一度も見たことない・・・。

「止めて!

お願いだから、もう止めてよ、純っ!

もう止めてよ!」

あたしは純の腰にしがみついた。

友夜は、まったく抵抗しないでただ純に殴られてた。

その目は恐い位に冷たい・・・。

虚ろな表情のまま遠くを見てた。

「純、もういいよ。

もう解ったから、もう止めてよぉ・・・。

友夜が死んじゃうじゃん。」

あたしは泣きながら必死で純に言った。

「警察来るよ。

ヤバイじゃん?

純、もう止めて!」

「お前をこんな目に合わせたこいつをこのままにしとけるわけねーだろーがよ!

俺はこいつを許すわけにはいかねーんだ!」

黙って殴られ続ける友夜は静かに目を閉じた。

「あたしは友夜の事を恨んじゃいないっ!

もう何とも思ってないもん!

純には関係ないじゃん!

これは、あたしと友夜の問題やから。

純、お願いやからもう止めてよ!」

純は友夜から離れた。

そして、あたしの手を強くにぎりしめると海の方に向かって走り出した。

「 友夜はきっと壊れてる。

あいつ、殴られても全然抵抗しねーんだ。

あんな奴、初めてだぜ。

なんかあいつ気味悪いし・・・。」

ズボンのポケットからタバコを出すと純は慣れた様子で火をつけた。

あたしは純がタバコを吸うのをじっと見てた。

なんだか純がちょっぴり大人に見えた。

パジャマのまんまで裸足のあたしは、足の裏についた砂をこすりながら純が吸うタバコの煙を見つめてた。

「ねぇ、友夜 大丈夫かなあ? 」

「はあ? お前、あんな奴の事が心配なわけ? 」

不機嫌そうに純が言った。