そして、段々腹が立って悔しくって、涙が止まらなくなった。

 涙がこんなに出たのはいつぶりやろか? って位に泣けてくる。

 悔しいから声は出さない。

 下を向いたまま純に言った。

「なんで?

 その人の事好きなん?

 ほっとけないって何よ?

 もういいわ。

 呼び捨てで呼ぶんやね。

 好きなんやね。

 もう知らんわ。

 2度とあたしに話しかけんといてよねっ!」

 こんだけ言うのが精一杯。

 あたしはとにかくその場から逃げたかった。
 
 そして、走り去ろうとした。

 純は、

「こんなんで壊れるん?

 お前はそれでいいのかよ?」

と、大声で叫んでた。

「誰が壊したん?

 あんたやろ!

 あんたが全部ぶっ壊したんじゃないん?」

と、あたしも叫んだ。

 夏の日は大嫌い。

 蝉が煩いし、あの日を思い出すから・・・。

 あたしは、泣きながらその場を走り去った。