「転んだだけだよ。

 なんか、ぼーっとしてたら転んだんだ。

 たいした事ないから。」

て、答えた。

 それから、どれほどの時間が過ぎてたのかも解らない位にあたしは眠ってた。

 ふと目が覚めて時計を見たら午後の2時を過ぎてた。

 机の上にサンドウイッチとココアが置いてあった。

 メモに夕方には帰るから、食べておいてってあった。

 あたしはココアを一気に飲み干すと、着信履歴に友夜の名前が数分事に入ってるのを見た。

 すると、いきなり部屋の戸が開いた。

 そこにいたのは純だった。

「お前、今日学校休んだやろ?

 約束守れよ!

 ずる休みか?」

って頭を撫でてきた。

 あたしは布団の中に隠れた。

「どーしたんだよ!

 テレてるん?」

 あたしの隣に入って来た純が、あたしの手を握った。

「学校来いよ、明日は絶対来いよ!

 何かあったら俺が全部なんとかしてやっからよー。

 俺は強いんだぜ。

 お前も最強やけど、今は俺の方が最強だぜ?」

 布団の中に潜り込んで来た純は、あたしの目の前まで来た。

「お前、どーしたんその傷?」

 あたしは、

「何でもないよ、転んだだけやから平気だよ。」

 そう言って、あたしは純の鼻をつまんだ。

「ちょっと待てよ、顔見せて。

 俺にちゃんと見せろ。」

 純が布団をはぐった。

 あたしは部屋を飛び出し、パジャマのまんま、家の外に出た。

「待てよ、見せてみろって!」

 追いかけてくる純。

 あいつには嘘は通じないもん。

 子供の頃からずっと一緒だったから。

 純にはあたしのコッパな嘘なんて絶対に通じない。

「お前、なんで逃げんだよ!」

 家からパジャマのまま、裸足で逃げるあたしは、5分位走った所でクラクラして、道路にうずくまった。

「何してるの?」

 その声の方を見上げて、あたしは息が止まりそうになった。

 後ろから追いかけてくる純が立ち止まった。

 あたしは、まだ14歳の子供で恋をする自分をコントロールする事を知らずに、自分の感情のままつっ走ってたのかもしれない。

 幼すぎる恋は、駆け引きとかプライドなんてどうでもよくって、真っ直ぐすぎたのかもしれない。

 目の前に優しく微笑む友夜がいた。