私はエレナ?

 不思議に思いながらも、そのままそう呼ばれてた。

 夏の暑い日の夜、いつものメンバーが別の仲間と合流する事になり待ち合わせの場所に向かった。

 カジュアルな感じの店の中に入ると音楽に合わせて踊る男女や酔っぱらった勢いで抱き合う男女の波を抜けると、誰かが肩に手を置いた。

「穂乃花?」

 その声の方に振り返った彼女は息が止まりそうになる。

 「お前こんなとこで何してんだ?」

 純だった。

 「エレナ~、純と知り合いなの?」

 知らない女の子が声をかけてきた。

 女の子は純に、

 「純。

 久しぶりじゃん!」

 そう言ってキスをした。

 純は穂乃花の手を引っ張って店を飛び出した。

 穂乃花は嬉しかった。

 何故だか解らないけどこの手を離したくなかった・・・。

 「ダチの原チャやけど後ろ乗れっ!」

 穂乃花は純の腰にギユッて抱きついた。

 心臓の鼓動が止まらない・・・。

 海に向かった。

 花火で遊ぶ奴らとかナンパ待ちの奴らがたくさんいた。

 缶コーヒーを自販機で買いに行く純の後ろ姿に涙が出そうになった・・・。

 何故だか解らない・・・。

 穂乃花は自分の姿に今さら驚いた。

 見たこともない服・・・。

 何で自分がこんな格好してるんだか解らない。

 純は、

 「お前、あんな何処で何してんの?

 てゆーかさ、お前、勉強しなくていいのかよ!

 ババアに叱られっぞ!」

 穂乃花は涙があふれ出た。

 どうしてなのか解らない。

 純は黙って穂乃花の頭を撫でた。

 穂乃花は唇を噛みしめた。

 純は黙って、ただずっと穂乃花の肩を抱いた。

 花火で遊ぶ奴らの歓声が夜空に響く。

 夏の夜空に広がる星が眩しい・・・。