家に帰ると、お母さんが、

「あんた、どこ行ってたん?

 もう10時過ぎてるよ!

 ちゃんと連絡くらいしなさいっ!

 ご飯だって、おばーちゃんが、あんたの分まで食べちゃって、もう何もないんだからね!」

 さっきのキスの余韻で頭がボッとしたまんまのあたしは、ご飯なんてどーでも良くなっちゃってた。

 「もういい、寝る!」

 あたしは部屋に行った。

 部屋に入るなりベッドに体を投げ出し、窓から射し込む月明かりをずっと見ていた。

 すると、突然携帯が鳴り、それは純からだった。

 私は電話に出だ。

「もしもし?

どうしたの?」

「俺、今からそっち行くわ、話たい事があるから。

 後、十分位したらお前んち着くからワンギリしたら、家の前に出て来て。」

 それだけ言うと純は携帯を切ってしまった。
 
 月明かりが綺麗な夜、あたしの気持ちは揺れてた。

 携帯が鳴った。

 私は家を出た。

 そこには純がいた。

 しばらく会ってない間になんだか純が遠くに感じる・・・。

 純の髪は金髪で、月明かりに照らされるとなんかとても幻想的に見えた。

 ガキっぽくてやんちゃで一緒にいつもバカな事ばかりしてた純。

 いつも本気でケンカして、お腹から笑って一番大事だった。

 なんだか遠くに行っちゃったみたいでだんだん悲しかったんだ。

 あたしは自分の気持ちにやっと気がついた。

 涙でボロボロになる・・・。

 ポタポタ地面に落ちる涙を見られたくなくって、純の顔をまともに見れなかった。

 純は、

「ごめんな。

 たくさん泣かしてるよな。

 俺さ、ガキん時からお前の事が好きで好きで大好きでさ、一緒にいるのが当たり前だった。

 でもそれが身内っぽくなっちゃって来てるって感じてさ、なんか、良く解んないんだけど好きってよりも大事って感じってゆうかさ?

そんな時に、ユリに声かけられてフラフラついてっちまって、やっちゃって、あいつは旦那に相手にしてもらえなくて、好きってのと違う感じで、側にいてやりたくなったんだよね。

 けど、あいつは結局、ガキの俺とは、ただの遊びでしかなくて、バイバイして、なんかムシャクシャしてナンパしまくって遊びまくったけど、何も残らなかったんだよね。