夕暮れの空はなんか切なくなる・・・。

 悲しい事なんて、何にもないのに悲しくなるんだ。

 なんでやろ?

 流れる雲の間から、見える夕陽がオレンジ色だ。

 みかんみたい。

 海に沈んだら、みかんは消えるんだ。
 
あたしは1人でよく海を見てた。

 1人ぼっちが好きだったから。

 小3までお父さんと2人暮らしだったけど、いきなりお父さんが再婚して、あたしお母さんが出来た。

 別に、この人に何の文句もない。

 ただなんとなく、お父さんとの間に微妙な距離を感じてだんだ。

 多分、それはあたしの思い過ごしだろうって思ってたけど・・・。

 お父さんの兄さんの所にいたおばーちゃんがうちに来る事になった。

 つまりお父さんと2人暮らしだったのが、いきなり4人家族になった。

 なんだか不思議。

 今まで2人っきりの生活から、4人家族になるってどうなるんだろう?

 そんな事、考えてたら、なんだか不安でたまんなくなった。

 みかんみたいな夕陽が、とうとう海に溶けた・・・。

 辺りは薄暗くなった。

 飛行機が飛んでって、雲の中に消えちゃった。

 そろそろ家に帰ろう。

 そう思って立ち上がった。

「あれっ?」

 遠くからあいつが来た。

 チャリに乗って立ちこぎしてた。

 あたしは大声で呼んだ。
 
「純ーーっ!

どおしたのー!

 なんで?

 ここにいるのが解ったん?」
 
「お前んち行ったら、いなかったから探したわ。

公園行ったし、本屋いったし、多分、海にいるかと思って来て見たんや!

 お前、何ひとりで黄昏てるん?

 俺の事考えてたんやろ?

 参ったぜ 。」

「はあ?

 バカな事ばっか言ってんじゃねー、

お前の事なんてミクロも考えてないし。」

 あたしはそう言いながら、純の所に行った。