「なんか、夕月とラーメンなんて食べるの久しぶりだよね?」

「そうだよね。

 母さんが仕事で遅くなる時には必ずインスタントラーメンじゃなかったっけ?(笑)」

「違うわよー。

 カレーよっ。」

 母さんが楽しそうにしてると夕月も嬉しかった。

 最近、家族がギクシャクしてて個々に何かを思ってたりして緊張してるみたいな落ち着かないみたいな。

 そんな雰囲気の中で息苦しささえ感じてたから・・・。

 こんなリラックスした母親を見たのは、再婚する前以来だった。

 ラーメン屋を出ると母親がいきなり手を繋いできた。

「よく夕月の手を握って歩いたわよね・・・。

 幼稚園に迎えに行ったら夕月が泣きながら私の手をギユッてつかんで遅いよ~~。
 
 なんでいつも遅いんだよ~~って、あん時、辛かったわ。

 あんたに寂しい思いをたくさんさせてたから共働きだったしね・・・。」

 夕月は思った。

 母親が小さく見えた事に少しだけ戸惑いながらも、母さんを悲しませたら絶対にいけないんだって・・・。

「母さん、父さんと蘭と仲良くやんなよね?

 何、言ってんのよ?

 夕月っ?

 あたしはあんたが1番大事なんだから。

 自分の子供だもん、当たり前でしょ?」

 夕月は照れくさそうに笑った。

 午後3時を過ぎると母親は、

「そろそろ帰るわね。

 明日も来るからっ。

 今晩、お父さんが帰って来るんだって、メールが着てたわ。

 夕月の顔位見に来てくれたっていいのにね?

 お父さんにはちゃんと夕月がアパートで暮らせれる準備をしてきたって伝えとくからね?

 帰りたくなったら、いつでも戻ってきてもいいんだから。

 解った?

 普段は蘭ちゃんと私しかいないなんて、私にどうしたらいいのかわからないわよ。

 夕月、戻ってきてよ?」

「それは無理だよ、母さん。

 僕は大丈夫だから。

 子供じゃないんだからさっ!」

「何を言うのよ。

 あんたは、まだ未成年で中学1年生で、どっから見ても子供よっ!

 無理しちゃ、ダメだからねっ?

 じゃあ、お母ちゃん帰るから・・・。」

「うん。

 じゃあ、またね。」

 母親が帰ると、夕月はさっそく青に電話した。

「青?

 引っ越し終わったよ。

 割かし早めに終わっちゃって・・・。
 
 今から会える?」