けど、ある意味こんな事になってラッキーって気がしてるよ。

 だって、独り暮らしって気楽じゃん?

 それにいつでも青と一緒にいられるようになるしね。」

「そうだね・・・。」

 あたしは夕月の腕に絡み付く。

「でも・・・。

 夕月の妹はそれでいいのかなあ?

 夕月が家を出てっちゃっても平気なのかなあ?

 だって、夕月の事が好きみたいじゃん?」

「蘭は自分の思い通りになんないとダメって感じなとこがあるから・・・。

 でも僕は好きな子を失うなんて考えらんないよ。

 僕には青がいる。

 青以外の女なんていらないから・・・。」

 夕月はそう言うと青のほっぺにキスをした。

「なんかハズイよ~~。(笑)」

 あたしは照れくさくなって先に走り出した。

「青~~っ!

 待てよ~~っ!」

 海岸通りを走るのってやっぱ気持ちいい・・・。

 その頃、蘭は部屋で夕月の帰りを待ってた。

 父親の実家に身を寄せてた蘭はこっそりマンションに戻っていたからだ。

「お兄ちゃんが独り暮らしするなんて事になったらあの女の出入りが自由になっちゃうって事じゃん?

 そんなの絶対に嫌っ!」

 蘭はイライラして、父親からこっそり盗み出したタバコを吸う。

 煙を吐き出す瞬間が1番落ち着く。

「蘭。」

と、いきなり鍵が空いた。

 それは母親だった。

「蘭ちゃんじゃないっ!

 なんであんたがここにいるの?

 お父さんの家にいるはずのあんたがなんでここにいるのよっ!

 母親はあんたの嘘なんて、ちゃんとお見通しなんだからっ!

 夕月があんたみたいな子供に何かするわけがないわよ!

 あんたは恐い子だわ。

 まるでルイとおんなじよ。

 あんたはルイにそっくりだわ・・・。

 あんたを見てると腹が立つわっ!

 何しに来たのっ?」

 蘭はタバコをテーブルの上に置いてある灰皿にギュッて押し付ける。

「あんたに用なんかないわよっ!

 あたしはお兄ちゃんに会いに来たんだからっ!」

 蘭はプィって顔を反らした。

「夕月に?

 何の用よ?

 あんたのせいで夕月がこの家から出てく事になったってゆうのになんで、またあんたが夕月に会いに来るわけ?