「青、どこ行こっか?

 僕もここ初めてだから、よくわかんないけど、とりあえず歩いて見る?」

「うんっ!

 なんか知らない街って楽しいよ。

 夕月が住んでた街に行った時もワクワクしちゃったもん。

 なんか楽しいよ・・・。」

 そんなに大きな街じゃないけど、やっぱ違う空気がして、さっきまでの憂鬱な気持ちがちょっとだけ楽になったりしてた・・・。

 なんか2人で学校ブッチするのって楽しいなっ・・・。

 でも制服でフラフラしてたらまずいよね・・・。

 補導とかされちゃったらかなりまずい・・・。

「青、ほらっ!

 あれ見てよ。」

 夕月があたしの手を引くと走り出した。

「どうしたの~~?」

「ほら、あれっ!」

「ええ~~!

 マジ?

 なんかめちゃ乗ってみたいかもしんないっ!」

 それは街ん中にいきなり見えた観覧車。

「スゲー。

 てか乗ろっ、絶対乗ろっ!」

 こんな街のまん中にいきなり現れた観覧車にあたしのワクワクのテンションはかなりあがってた。

 夕月と顔を見合わせると子供みたいな無邪気な笑顔ではしゃいだ。

 そこは遊園地とかじゃなくって、ただ観覧車があるだけの場所だった。

 なんだか不思議な空間だよな・・・。

 チケットを買うとあたし達は観覧車に乗った。

「わあ~~、見て、夕月っ!

 街も人もめちゃミクロだよ~~っ!」

「本当だね・・・。」

「うんっ!」

 あたしはその小さくなって模型みたいな風景を見てるうちにだんだん自分の悩みとかがバカらしくなって来てたんだ・・・。

「夕月ぃ?

 あたし決めたよ!

 もう逃げないから・・・。

 誰が何言っても自分が間違ってなかったらいいんやよね?

 それにあたしには夕月がいるもんっ!」

 向かい合わせで座るあたし達は、顔を見合わせる。

「青、横行っていい?」

「うん、いいよ。」

「こんな高い景色で2人っきりなんてなんかロマンチックだよね・・・。」

 夕月がキスしてきた。

 あたしは夕月の背中に手を回すと、ギュッて抱きついた。

「青を抱きたい・・・。」

「夕月、なんか最近大胆っ!」

「え~~、そりゃそうだって~~。

 好きなんだから。

 抱きたいに決まってんじゃん?」