あたしの手をギュッて握る夕月は、

「青、2人でどっか行こっ。

 電車代、僕が出すから。

 隣の県まで行ってみよっか?

 違う景色とか見たら、気分転換になるよ きっと・・・。」

 泣きそうな目で夕月を見るあたしは、

「うんっ。」

てうなずいた。

 大好きな海・・・。

 大好きな空・・・。

 だけど・・・、今日は癒されないよ。

「青、ごめんね。

 蘭があんな事言うなんて・・・。」

「いいよ。

 だって嘘じゃないもん。

 みんなが噂してる通りやもん。

 友夜はあたしのせいで死んじゃったんだ・・・。」

 ポタポタ涙がこぼれ落ちた。

「あたしなんか死んじゃえばいいんだよね・・・。

 あたしなんか生きてちゃあいけないんだよね・・・。」

「青っ!青っ!

 お願いだから、そんな事言わないで・・・。」

 夕月が抱きつく。

「夕月・・・。

 なんでこんなあたしに優しいんだよ・・・。

 あたしにもったいないよ・・・。」

「僕は青の事が好き。

 それだけの事だよ。

 他に何があるんだよ・・・。」

 電車に乗ると懐かしい町の景色がどんどん過ぎていった。

 いくつもの駅を越えると・・・、海が遠くなってって大きな河が見えて来る。

 この河って県境なとこだよね?

 この河大きいよね・・・。」

 夕月が車窓の景色を見つめてた。

 大きいな河を過ぎると街が見える。

 そんなに大きな街じゃないけど、あたしの住んでる町よりも大きい。

「海は見えないけど・・・、

 夕月の住んでた街よりは小さいよね・・・。」

 あたし達は電車を降りて改札口に出た。

 地下道を歩くと階段を上がり、いきなり目の前にコンビニがあった。

「青、お腹減ったでしょ?」

「なんでぇ?」

「だって、お腹減った顔してんじゃん?」

「ええ~~、それってどんな顔だよ~~っ?

「ハハハハ・・・。

 ちょっと、ここで待ってて。」

 夕月が1人でコンビニに入る。

 数分後にジャムパンとオレンジジュースを買ってきた。

「青、こんなんしかないけど食べなよ。」

 コンビニを少し行った場所に小さな公園が見えた。

 あたし達はそこに向かって歩き出す。

「後でどっかファミレスかマックでも入って休もっか?

 とりあえず、青はそれを食べてエネルギー蓄えなきゃね?」