あたしは平気。

 何も悪くないもん。

 絶対に、こそこそなんてしないから・・・。

 あたしは好きな彼氏と一緒にいるだけじゃん?

 文句言われる筋合いなんかないよ・・・。

「なんか大胆だよね~~。

 見てみて~~っ!」

 誰かが噂する。

「あの人、2年の夏川さんて人やろ?

 秋本君と付き合ってんだって~~。

 いいな~~。

 てゆーか、あの人の元カレ自殺しちゃったんやって~~っ!

 みんな噂してるよ~~。

 あの人のせいみたいだよ?

 何それ~~?

 てか、秋本君も殺されちゃうかもしんないじゃん?

 マジ~~?

 なんかヤハイよね?」

 あたしに対する中傷は日に日にキツくなる・・・。

 あたしは隣の夕月の腕にしがみついたまま平気なふりをして歩いてた。

 夕月にもみんなの噂が聞こえてないわけがない。

「蘭~~っ。

 あの人やろ?」

 夕月の妹が目の前に現れた。

 一緒にいる友達が、

「じゃあ、先いくね。」

 って走ってった。

「お兄ちゃん?

 なんでこんな人といるわけ?

 この人って彼氏がこの人のせいでつい最近自殺しちゃったんだってさ。

 そんな人となんでいるの?

 それにお兄ちゃん、蘭に抱きついたじゃん?」

 夕月の妹はあたしに向かってこう言った。

「あたし達この間、愛し合ったんですよ。

 なんで、お兄ちゃんと別れてもらえません?

 彼氏が自殺しちゃった人にお兄ちゃんを渡すわけにはいかないっ!

 お兄ちゃんまで殺されちゃったらどーするんですか?

 あたしはあんたなんか絶対に認めないっ!」

 校門近くで大きな声でわめき声を出す妹を皆が見てた。

「蘭、止めろよっ!」

 夕月の声が遠くに感じた。

「夏川さんて最低~~。

 秋本君の妹の言う通りだよね~~。

 秋本君まで自殺しちゃったりして~~?

 なんか夏川さんて恐いよね?

 秋本君て妹と出来てたの?

 知らなかったよね~~?

 でも妹ってやだあー、禁断じゃーん?」

「違うよ。

 秋本君と蘭は義理の兄妹やよ。

 血が繋がってないからありでしょ?

 蘭綺麗やしね~~。

 お似合いじゃん?

 夏川さんて恐いよね~~。」