夕月は市営住宅に母親と2人で住んでいたんだって。

「今日、土曜日じゃん?

 いつも夕方位から待ち合わせしてバンドの練習とかしてたんだよね。

 最近は全然してないけどね。

 バスに揺られながらウトウトしそうになる。

 バスに揺られるのってなんかとっても気持ちいい・・・。

「青っ! 」

「えっ?」

「着いたよー。」

「うんっ。」

 あたしは夕月の後ろから着いてった。

 バスを降りると、

「あーっ!

 サイゼがあるよーっ!

 あたしはつい興奮しちゃった。

 サイゼがあるぅ~~。

 やっぱここは都会やね。

 うちの近所なんて何にもないもーんっ!

 マックしかないもんな~~。」

「青んちっていうか、住んでるとこはめちゃ海が近いし、いいところだよ。

 僕はここより好きなんだけどな~~。」

「そうかなあ?

 なんもないよ?」

「青がいる町じゃん。

 青がいるじゃん。(笑)」

 あたしは赤くなってるに違いない。

 だって顔がほてってるのがわかるんだもん。

「あれ~~っ?

 やっぱ~~?

 夕月~~っ!」

 向こうから近ずいてくる男の子に夕月が 嬉しそうに声をかける。

「しょうたじゃん?

 てか何してんだよ~~っ!」

「えっ?

 彼女んち行く途中っ!(笑)」

「彼女ってあの。もしかして~~沙羅か?」

「ピンポーンっ!

 沙羅だぜっ。」

「お前ら元サヤ?」

「バッチリ、元サヤ~~っ!」

 始めてだ。

 夕月がタメの友達と楽しそうに話してるのを見て、なんだか割り込めなかった。

 夕月って友達といる時こんな風に笑うんだあ・・・。

「でっ?

  誰?」

 そのしょうたって子があたしを見た。

 夕月は照れ臭そうに、

「彼女だよっ!」

て、あたしの手を握った。

「ええ~~っ?

 てかマジかよ?

 お前が彼女~~?」

「なんでそんなに驚くわけ?

 あたしはちょっぴり不思議に思いながら夕月の握る手に不安になった。

 しょうたって子があたしに、

「夕月ってモテまくりなのに彼女ってのを1回も作んない奴でさーコクられまくりなのに、ぜーーんぶブッチしてたんすよね~~。

 こいつもしかして、あっちなんか?

って噂されてたんっすよー。(笑)