長かった夏休みが、もうすぐ終わろうとしてた。

 花火大会のあの日から、あたしの気持ちは、どんどん友夜に向かってた。

 友夜はクールでちょっぴり大人びた男の子・・・。

 海の匂いがして、たまに胸がキュンてなる。

 これって?

 やっぱ好きって事なのかなあ?

 あたしには正直よく解んない。

 でも友夜といたら、なんだか凄く落ち着くんだ。

 夏休みが終わる頃、こんな日に登校しなくたっていいんじゃないか?って日が、あたし達の登校日だった。

 久々にクラスメートに会うと、友達がビックリしちゃうほど、焼けてたり、なんか雰囲気が変わってたりする子もいた。

 夏休みは女の子を変える・・・。

 夏休みは女の子に魔法をかける・・・。

「ねぇー?」

 いきなりあんまり仲良くないギャルのリサと亜美の2人が話かけてきた。

リサが、

「あんたさ?

 純と別れたんやって?

 なら、あたしが純もらっちゃっていい?」

 そう言って、はしゃいでる。

 亜美が、

「あんたさ?

 S中の友夜と付き合ってるんやろ?

 花火大会ん時、見たってやつ多いんだよね。

 やるじゃん。

 友夜は、めちゃめちゃ有名やし、あんたイケメン好きやねー。

 とにかく、リサに純を譲ってやってよ。」

 そう言って、2人は勝手に盛り上がってた。

 あたしは、

「譲るも譲らないもあんたらの好きにしたらいいじゃん。」

ってだけ答えて教室を出た。

 なんかめんどくさい。

 いちいちめんどくさい。

 超ウザい。

 なんで、いちいち干渉されなきゃいけないわけ?

 あたしは、無性に友夜に会いたくなってメールした。

《今日会いたいよ。

 すぐに会いたいよ。》

 友夜からきた返事は、

《いいよ、海の公園の所に夕方5時に待ってるから》

 学校が終わると部屋に戻った。

 何、着ていこうか?って、片っぱしからクローゼットにある服を取り出して見たけど、なんだかどれもイマイチでイケてない。

 真里菜から借りっぱなしのギャルっぽい服は、あたしにはなんだか似合わない気がした。

 それに同じ服を着て会えるわけないじゃん?

 どーしよ・・・。

と、その時、あたしの携帯が鳴った。

 服が散乱した部屋のどこに携帯があるんだか必死で探してたら、着信音が止まった。

 やっと見つけて履歴を見たら純からだった。