「あっ・・・。

 もうすぐ8時半過ぎちゃうよ・・・。」

 うっかり夕月の隣でつい、うとうとしちゃったあたしは、起き上がった。

 布団にくるまったまま、夕月に背中を向ける。

「夕月、あたし寝ちゃったんだね・・・。

 青、なんであっち向いてんの?

 こっち向いてよ。」

「嫌だよ~~。

 なんかハズいもんっ!」

「青~、こっち向いて・・・。」

 あたしは布団にくるまったまま夕月の方を見る。

「青・・・、綺麗だよ。」

「何言ってんの~~?」

「夕月~~、からかわないでっ?」

「ほんとだよ。

 青は綺麗・・・。

 僕は幸せだよ・・・。

 好きなんだ・・・。
 
 本気だからね・・・。」

 ちょっぴり照れ臭そうに髪をかきあげる夕月の細い肩に見とれちゃった。

 あたしはベッドから立ち上がると床に脱いだ服を集めて、急いで着込む。

「ねぇ、夕月~。

 9時位にうちの人とか帰ってくるんやろ?」

「あたしもう行くね?」

「青、待って。

 送るから。」

 夕月は急いで服を着ると、あたしにキスをした。

「なんか、夕月大胆じゃん?

 大人になったって感じがする~~っ。」

 あたしは半分からかったような目で夕月を見た。

「からかうなよ。」

 夕月はあたしの手を引っ張る。

 夕月とマンションから出ると、星空が綺麗な海岸通りを2人で歩いた。

「青、あのさ、

 僕、青の事、簡単なってゆーか、

 軽いってゆーか、

 そんないい加減な気持ちで、

 その・・・、

 なんてゆーか・・・、

 エッチとかしたわけじゃないから。

 それだけは絶対信じて?」

 繋いだ手をしっかりと握る夕月。

 一生懸命自分の気持ちを話そうと必死になってるこの子がなんだかとっても純粋に見えて、あたしにはとっても眩しく感じる。

 だって、あたしは夕月と付き合おって決めてからも、また純の事、揺れてたから・・・。

 あたしは本気で夕月と向き合ってるの?

 あー、もう余計な事はスルーするんやった・・・。

 あたしは夕月の腕に掴まった。

 なんか手を握るのよりも、もっと近くに感じたかったから・・・。

 夕月はまっ赤になってる。

「変なの・・・。

 さっき、もっと凄い事したじゃん?」

 夕月ったらテレてる・・・。