先生が来てくれる。
それは言葉にできないほどの安堵だった。
だけど、もしこの男が凶器を持っていて、助けに来てくれた先生を傷つけるようなことがあったら、どうしよう?
目の前で揺れ続けている金具は心もとなく、恐ろしくてたまらない。
いきなり、バンという大きな音がして、
「……え……」
――視界が広がった。
ドアは、開いていた。
「…………ッ、」
すぐにでも大声を出したいのに、あまりにも巨大な恐怖感が、萎縮しきった喉を塞いでいる。
もはや逃げ出す元気など微塵もなかった。
それどころか、人間というのは不思議なもので、絶体絶命にいざ対面すると頭のなかは少し冷静ですらある。
……ああ、もう、本当に逃げられないかも。
抵抗なんて、とてもできないかも。
ぼうっとそんなことを考えていると、がしり、と両肩を強い力で掴まれた。
反射で上げたはずの小さな悲鳴は、男の手のひらに封じられてしまった。
「……教師が来るんだな?」
低くしわがれた声が耳元でささやく。
生理的に、涙と震えが大きくなっていく。
怖くて、怖くて、どうしたらいいのかわからなかった。
思考がまったく働かない。
「チッ……」
男の舌打ちと同時に、スカートのなかに、ねっとりした熱が侵入してきた。
男のもう片方の手のひらだった。
太ももを撫でられる感触はあまりにも気持ち悪くて、食べたものがぜんぶ口から出そう。



