純情、恋情、にぶんのいち!



なんと言えばいいのかぜんぜんわからなかった。


困っているわけじゃない。

いや、困っているのかもしれない。


必死で言葉を探しているうちに、キャンプファイヤーが始まってしまった。

司会進行の生徒会の役員さんがなにか話しているけど、そんなのはいっさい耳に入ってこない。


「……ごめん、困らないで」

「え……」

「おれ、千笑ちゃんのこと困らせてばっかりだ」


そんなことないです、と言うつもりだった。

だけど言えなかった。


なぜか、こんなタイミングで、

――ヨウ先生の顔が脳裏に浮かんでしまったから。


「……とーご先輩、ごめんなさい、わたし……帰ります」


地球が逆回転しているのはもはや明白な事実。

早く元に戻さないと、きっとこのままじゃ、わたしの頭がおかしくなってしまう。


「待って」


それでも、逆回転の地球に住むとーご先輩の手のひらは、わたしを逃がしてはくれなかった。

大きくて、あたたかい、とーご先輩そのもののような、とてもやさしい手のひら。


「……ごめん、待って」

「とーご先輩、あの、あのっ……」

「急ぐつもりはないんだ。……ただ、少しでいいから、千笑ちゃんの頭のなかにおれがいてくれればいいなって思う」


あまりにも真剣なまなざしを向けられて、それをふり切って逃げるなんて、そんな不躾なことは、村娘Aにはもうできない。