「あのふたりが上手くいくといいですね!」
「……ん、そうだね」
「さーちゃんが早くヤス先輩の魅力に気づいてくれたらいいのに!」
太陽が西の地平線へ沈んでいき、辺りは徐々にネイビーに染まりつつあった。
いよいよ後夜祭がスタートするみたいだ。
「すごくワクワクします!」
「そうだね。実はおれも後夜祭ははじめてなんだ」
「えっ、そうなんですか?」
「うん。去年は一緒に出たいって思う子がいなかったから」
ミーハーなので、もったいない、みたいな気持ちになってしまった。
だってきっととーご先輩はたくさんの女の子に誘われたに決まっている。
そして、それはたぶん、今年も同じことで、
……でも先輩は、わざわざわたしを誘ってくれたんだ。
「……あの。わたしなんぞをお誘いくださって、本当にありがとうございます」
「どうしてそんなふうに言うの?」
いつも優しいとーご先輩が、少し食い気味に言葉を発したので、驚いて思わず顔を上げる。
「おれはさ、千笑ちゃんだから誘ったんだよ。おれが、千笑ちゃんと一緒に出たいと思ったんだ」
さすがに、心臓がめちゃくちゃに暴れだす。
こんなにまっすぐな言葉を、こんなにまっすぐ伝えてもらったことなんて、生まれて一度もなかったから。
呼吸を妨げるほどの鼓動に耐えられず、おもいきり、とーご先輩から目を逸らしてしまった。
すると、先輩の手が、引き止めるみたいにわたしの手首を掴んだのだった。
「せんぱ、」
「千笑ちゃんを見つけると嬉しくなるし、話すと元気になる。……いまは、ドキドキしてる」
「と、……」
「おれ、千笑ちゃんのこと……もっと知りたいと思ってるよ」



