グラウンドはすでに人でいっぱいだった。
とーご先輩はそのなかでも、やはりどうにも“特別”な存在で、そんな人の隣に居座っていることが少しだけ恥ずかしい。
だって、わたしなど、名前すら持たないただの村娘A。
「……あの」
「うん、なに?」
「どうして……わたしのこと、後夜祭に誘ってくれたんですか?」
いまさらのようにどうしても聞きたくなって、無粋すぎる質問をぶつけてしまう。
そういえば、絶対に女の子といっしょに参加していそうなヤス先輩の姿が、どこにも見当たらない。
さーちゃんの姿も同様だ。
ふたりは、本当のところは、どうなんだろう?
これから、どうなっていくんだろう?
とーご先輩も、同じようなこと、もしかしたら思っているのかもしれない。
「……とーご先輩、優しいんですね」
「え?」
「だって、ヤス先輩のためなんですよね?」
ヤス先輩と仲良しな、とーご先輩。
そして、さーちゃんと仲良しな、わたし。
わたしたちがいっしょにいたら、ふたりの関わるきっかけになりえるわけで、いつか自然とどうにかなってくれるんじゃないかって、わたしもほんの少しだけ、考えている。



