「ていうか、こんなところで立ち話もなんだし、そろそろおれらも大人しく飲み物買おうかな。泰人がめちゃくちゃこっち見てるし」
「えっ!?」
後方を見やると、結局さーちゃんには逃げられてしまったらしいヤス先輩が、両方の口角を上げてこちらに視線を送っていた。
「なんだよ、その顔は」
「冬吾だけチィちゃんと仲良くしてていいなあと思って」
「ぜんっぜん思ってないだろ」
軽口を叩きつつ、とーご先輩がヤス先輩と再び合流するなり、周りにいたクラスメートたちがすかさずこちらに集まってきた。
そりゃあ無理もない。
最近のわたしは、とーご先輩とヤス先輩と接する機会が多すぎる。
自分でも不可思議な、そして恐縮なことだと思っているのだから、この光景を見ている周りのほうがそう感じるのは当然だろう。
「ねえ、ちょっと!」
いきなり、ぐい、と袖を引っ張られた。
少し鼻にかかった高い声。
それを認識したときにはもう、わたしはすでに数人のクラスメートに囲まれていた。
「チィちゃんってホントにとーご先輩とつきあってるの?」
「藤沢さんとヤス先輩は? やっぱりデキてるの?」
「ね、いつから? なんで? どうやって?」
雪崩のように襲いくる質問たちに頭のなかは混乱状態。
いつかもしかしたらこんなふうに尋問を受けるかもしれない、というのは、なんとなく予想できていた。
とーご先輩やヤス先輩とお話するたび、クラスメートから向けられる視線を感じていないわけではなかったから。
学校のアイドルといっても過言ではない人たちと仲良くしている平凡な女子が、彼らに憧れるコたちに優しく見守られているだけだなんて、絶対にありえない。



